傷んだ街路樹

同時多発テロの年の11月、1回目の渡航。

モンジュールさんから、街路樹を見て欲しいと言われ、県の土木部長のところに連れて行かれた。いつものとおり、県の事務所から現場に出かけようとしない。1時間、2時間何もせずに動かないのが普通のバングラデシュ。どうも、土木部長の公用車が出かけたまま戻ってこないので、待っているという。仕方なく、別の車(トヨタのランドクルーザー・プラド)で事務所を出ようとしたとき、公用車は戻ってきた。公用車は三菱のパジェロであった。パジェロはバングラデシュでは金持ちのステータスシンボルである。このことは、別の機会に書きたい。

パジェロで2時間近く走った場所に、問題の木はあった。木の表面が全体的に土で覆われ、所々、焦げ茶色の樹液が流れ出している。この木は輸入品であろうという問いかけに、道路の街路樹としてタイから輸入して植えたという。成長が早いので、樹木の少ないバングラでは、苗木を大量に輸入している。

同行したラシャヒ大学の病理学の教授が、病気だという。どう見ても虫が幹に穴を開け、甘い樹液を出したためにアリが木に登って、自分たちを守るために幹を土で覆っているのである。これは虫だと断言し、1ヶ月後、専門家を連れてくるからと言って現場を離れた。

約束通り、1ヶ月後、友人Kを連れて同じ現場に舞い戻った。友人は、造園会社を営む。樹液の出ている部分を丁寧に道具でこじ開け、中から虫を捕りだした。ルーペで虫を見ると、「コスカシバです。」この一言で、診断は終わった。蛾の一種。日本でも果樹や街路樹に大量発生する。

1ヶ月前の状況を聞いた友人Kは、オルトラン93%というカプセル剤を準備していた。比較的被害の少ない木の幹に何カ所か、直径1センチぐらいのドリルで穴を開け、そこにカプセルを埋め込み、癒合剤と言われるガム状のもので蓋をした。

国中の多くの同じ木が、同じような症状で傷んでいるという。知らないというのは恐ろしい。


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